乳がんのサブタイプとは?
(用語説明)更新
読み:にゅうがんのさぶたいぷ
【目次】
サブタイプとは?
乳がんにはさまざまなタイプがあります。乳がん細胞がもつ性質によって、分類したものを「サブタイプ」と呼び、このサブタイプは病理検査(組織診)で、がん細胞の表面にあるタンパク質を調べて判定します。
タイプ毎に、がん細胞の増殖する力の強さや再発のリスク、薬の反応性が異なります。
このサブタイプは、基本的に乳がん細胞の性質を示す「01.ホルモン受容体」、「02. HER2(ハーツー)」、「03. がん細胞の増殖力(Ki-67)」、この3要素の組み合わせによって、大きく4つに分類されます。
このサブタイプに基づいて、ホルモン療法(内分泌療法)や抗がん剤療法(化学療法)、分子標的療法(抗HER2療法)などから必要な薬物療法を選択していきます。
サブタイプの分類
乳がんの治療時に薬物療法を行う際は、サブタイプ毎に適した薬剤を使用します。
また、治療後の経過の予測にもサプタイプを参考にします。
それぞれのサブタイプの特徴と推奨される薬物療法について紹介します。
01. ホルモン受容体「陽性」×HER2「陰性」
女性ホルモンと作用する受容体が乳がん細胞に発現しているタイプを「ホルモン受容体陽性乳がん」もしくは「Luminal(ルミナル)タイプ」と呼びます。乳がん全体の70~80%程度を占めるもっとも多いサブタイプです。
このタイプは、がん細胞の増殖力(Ki-67)の値を考慮して、さらに「ルミナルA」と「ルミナルB」に分けられます。ルミナルAタイプに比べてルミナルBタイプは、がん細胞の増殖力が高く、再発リスクが高いタイプです。
- ルミナルAタイプ
ホルモン受容体「陽性」かつHER2「陰性」で、がん細胞が増えるスピードが遅いという特徴の乳がんです。増殖能力が低いルミナルAタイプは、典型的なホルモン受容体陽性乳がんと言えます。このタイプは、女性ホルモンを養分に増殖するため、ホルモン療法(内分泌療法)が推奨されます。
- ルミナルBタイプ
このサブタイプは、がんの増殖能力が速いタイプの乳がんです。
ルミナルAタイプと同様にホルモン療法(内分泌療法)による治療が効果的ですが、ルミナルAタイプに比べて増殖能力が高いため、多くの場合ホルモン療法(内分泌療法)に加えて抗がん剤を使った治療もおこないます。
02. ホルモン受容体「陽性」×HER2「陽性」
このサブタイプは、ホルモン受容体とHER2のどちらも「陽性」であるため、ホルモン療法(内分泌療法)と分子標的療法(抗HER2療法)ともに効果が期待できます。
ホルモン療法に加え、抗がん剤と抗HER2療法を組み合わせた治療をおこないます。
03. ホルモン受容体「陰性」×HER2「陽性」
ホルモン受容体「陰性」かつHER2「陽性」の、このサブライプの乳がんは乳がん全体の10%程度を占めます。ホルモン受容体が無いため、ホルモン療法(内分泌療法)の効果は期待できません。
HER2を標的とする分子標的療法(抗HER2療法)と、抗がん剤療法の併用が推奨されています。
04.トリプルネガティブ
トリプルネガティブと呼ばれているこのタイプは、ホルモン受容体とHER2タンパクのいずれも持たないタイプの乳がんです。このタイプの乳がんには、ホルモン療法(内分泌療法)や分子標的療法(抗HER2療法)の効果は期待できず、通常抗がん剤療法を行います。
監修:まゆ乳腺クリニック 高木まゆ