ステージ分類とは?
(用語説明)更新
乳がんのステージ分類
乳がんがどれだけ進行しているのか?
その進行状態を表す「ステージ(病期)分類」という指標があります。この指標は、以下3つの要素を組み合わせて乳がんの進行度を判定します。
- 01. しこりの大きさ:Tumor(腫瘍)
- 02. リンパ節への転移状況:Lymph Node(リンパ節)
- 03. ほか臓器への転移:Metastasis(転移)
それぞれ英語の頭文字をとって、「TNM分類」と呼ばれ、国際的に使用されている病期分類です。ステージは、0・Ⅰ・ⅡA・ⅡB・ⅢA・ⅢB・ⅢC・Ⅳ 期に分類されます。
この「ステージ」を判断するには検査が必要です。
乳がんが見つかった場合には、さまざまな検査をおこないますが、それらの検査によって「ステージ」を判定します。
しこりの大きさが2cm以下でリンパ節転移のない乳がんはⅠ期に分類され、これに分類される乳がんは、一般的に早期乳がんと呼ばれています。
肺や肝臓など乳房から離れた臓器に転移があった場合はⅣ期となります。
TNM分類表
各ステージとT・N・Mとの関係は、下の表のとおりです。
ステージ毎の治療内容
乳がんの治療は、手術や放射線療法、薬物療法の中から、乳がんのステージなど個々の患者さんの状態に合ったものを選び、それぞれを組み合わせておこないます。
ステージ毎の一般的な治療方針は以下のとおりです。
0期の治療方針:
手術によって腫瘍を切除する治療が基本です。
がんが小さい場合には、乳房温存手術あるいは乳房温存手術とセンチネルリンパ節生検を行い、術後は再発を防ぐために放射線療法や、薬物療法の一種であるホルモン療法(内分泌療法)をおこなう場合があります。
Ⅰ~ⅢAの治療方針:
がんが小さい場合には、乳房温存手術と術後放射線療法をおこないます。また、必要に応じて薬物療法をおこないます。がんが大きく、乳房温存手術が困難である場合には、乳房全切除術と術後薬物療法をおこないます。
一方で、術前薬物療法をおこない、がんが小さくなれば、乳房温存手術が可能になる場合もあります。
手術で切除した組織を調べ、がんの大きさ性質、悪性度を確認し、再発のリスクが大きい場合には、放射線療法や薬物療法も同時におこないます。
ⅢB、ⅢCの治療方針:
手術療法、薬物療法、放射線治療を組み合わせて治療します。
薬物療法でしこりを小さくしてから手術をすることもあります。
Ⅳの治療方針:
原則として手術はおこないません。薬物療法で、がんの進行を抑え、症状の悪化を防ぎます。
ただし、骨や脳に転移がある場合、症状を緩和するために放射線治療や手術を行う場合があります。
乳がんの治療を進めるうえで一番大切なことは“命を守ること”ですが、患者さんの生活の質を落とさず、できるだけ今までの生活を保てるような治療を選択することもまた大切です。
上で紹介した治療法はあくまで一般的な内容です。治療法を選ぶときは、診断の結果やステージだけではなく、患者さんの年齢や家族構成、また仕事や生活の状況なども考慮して、担当医と一緒に自分にとって最も適した治療法はなにかを模索し、選択していきましょう。
監修:まゆ乳腺クリニック 高木まゆ