エストロゲンとは?
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エストロゲンとは?
エストロゲンとは女性ホルモンのひとつです。
人体の臓器の働きを調整するホルモンは、全部で40種類以上ありますが、その中で女性ホルモンと呼ばれるのは、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)の2種類です。
エストロゲンは、主に卵巣から分泌されるホルモンであり、女性の体の発達、生殖器官の発育や維持などの重要な役割を果たしています。成長とともに分泌量が増え、女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用があるホルモンです。思春期から分泌量が多くなり、20~30代でピークに達し、少しずつホルモンを分泌する卵巣の機能がお休みモードになり、更年期になると分泌量は急激に減ります。
エストロゲンと乳がんの関係
これまでに乳がんのリスク要因について、いくつか明らかになっていますが、なかでも重要な因子は、この「エストロゲン」だと言われています。複数の研究において、エストロゲンレベルが高い人は乳がんのリスクが高いということが確認されています。
そのため、エストロゲンが分泌されている期間が長ければ長いほど乳がんを発症するリスクは高まります。簡単に言えば、月経がある期間が長い人が乳がんになりやすいのです。
・初経年齢の早い人や閉経年齢が遅い人
・出産したことのない人や出産数が少ない人
・授乳したことがない人や授乳期間の短い人
また、経口避妊薬(ピル)の使用期間が長い人や、閉経後に長期のホルモン補充療法を行なっている人も、乳がんのリスクがあるとされています。
そもそもがんは、なんらかの原因により細胞が異常に増殖していくことで発生に至ります。このエストロゲンには細胞の増殖作用があるため、がんの発生に関与していると考えられているのです。
エストロゲンが少ないとどうなるの?
乳がんの発症と関係があると言われているこのエストロゲン。では、エストロゲンが少ないとどうなるのでしょうか。
エストロゲンは生殖機能以外にも脳・中枢神経機能、循環器(心臓血管系)、脂質代謝(コレステロールや中性脂肪)、乳房、皮膚、骨代謝など女性のからだのさまざまな機能を調整する作用をもっています。そのため、エストロゲンが欠乏するとこれらの作用が無くなり機能に変調が起こりますので、さまざまな症状・障害や病気が発症することがあります。
女性ホルモン(エストロゲン)との上手な付き合い方
女性ホルモンは、生理や妊娠はもちろん、それにまつわるカラダの不調や、心の不調にまで深い関わりを持っています。ストレス・不規則な生活・睡眠不足などのちょっとしたことでもホルモンバランスが乱れてしまいます。
毎日を健康に過ごすためにも、不調を感じたら無理をせず、カラダと心のバランスを崩さないように心がけましょう。また、適度な運動や質の良い睡眠をしっかり取ること、栄養バランスのとれた食事、ストレスを取り除くようにするなど、生活習慣を見直して女性ホルモンとうまく付き合っていきましょう。
閉経後は、脂肪組織の働きで副腎のホルモンがエストロゲンに変化するため、閉経後に肥満の人は乳がんのリスクが高まります。閉経後の肥満や過度な飲酒・喫煙を避け、規則正しい生活をおくることは、乳がんだけでなく他の疾患の発症リスクを引き下げます。特に閉経後の運動習慣は乳がんリスクを下げると言われていますので、やはり適度な運動を心がけましょう。
最後に、経口避妊薬(ピル)の使用は、避妊以外にも月経痛などの治療にも用いられています。また、ホルモン補充療法は更年期障害の緩和に有用です。それぞれ乳がんのリスクが高まる可能性があったとしても、他のがんや病気を減らす効果も見込まれるため、主治医とよく相談の上で処方してもらうようにしましょう。
監修:まゆ乳腺クリニック 高木まゆ